- 『 西欧精神医学背景史 』 中井久夫
読み進むほどに、いやこの人はなんでこんなことを考えられるのだろう?と、ページをめくる手が止まってしまうことしばし。しかも本文が書かれたのは79年、この頃にこれほどまでに西欧を理解し、さらには僕らがともに考えられるようなレベルにまで噛み砕いてくれた人が他にいたか、と、思う。
この人の文章には、トラウマとかオブセッションとかいう類いのものが、僕にはあまり感じられなかったのだが、99年に書いた後書きを読んで、ああ、と嘆息するものがあった。この短い後書きだけで一冊分。
『「一行の裏に一つの論文、一冊の本」をこめようとした』と自ら語る彼に従って、さらに渉猟を続けたいと思う。精神医学だけでなく『西欧』に何かひっかかりを感じる人は是非読んでほしい。