2006-12-10 01:00:00+09:00
読 . mixi . 池田清彦

『新しい生物学の教科書』 池田清彦

mixiレビューから転載

この人の本は、言い切り方が読んでるほうをどきどきさせるようなところがあるものの、おもしろくて何冊か読んでいる。本書、彼が標榜する構造主義生物学の立場から、高校生物、さらには中学の理科の教科書の記述を具体的にあげて批判した本。

もとは『教科書にない「生物学」―文部省検定の裏を読む』というタイトルで雑誌に連載されてたそうだが、こっちの方がはるかに内容には近い。

この本にも名前が出てきて懐かしかったのだが、柴谷篤弘から「生物学に構造主義」というのを見知った身としては、ここで展開されている批判はうなづけるところが多かった。逆に批判されているネオ・ダーウィニズムの側では、対応するような本はないのかなと思う。ジュリアン・ハクスリーの「進化とは何か」なんか非常におもしろかった記憶があるのだが、なんといってもだいぶ情報は古いと思われるし。

本書の記述の中で、あらためてそうそう、と思った箇所はいくつかあるが、書いておきたいのは「環境問題とは人口問題にほかならぬ」というところ。

どんな優秀な技術もシステムも、加速度的に増大していく人口問題を解決しない限り、地球環境の悪化に対しては焼け石に水なのである。少子化に悩んでいるらしい日本では、自国の人口は減らさずに世界の人口を減らしたいと思っているのかもしれないが、すべての国がそういったタイプの国家エゴを押し通せば、カタストロフィーは不可避である。