2009-07-22 20:38:00+09:00
日記 . mixi

[補遺] 小津安二郎 東京グルメ案内 / 貴田 庄 (朝日文庫) [転載]

mixi日記から転載 id=1233132673

かつてのブログから転載加筆修正シリーズ。 ブックレビューです。


TITLE: 小津安二郎 東京グルメ案内 / 貴田 庄 (朝日文庫) DATE: 07/01/2005

小津安二郎 東京グルメ案内

レビュー

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小津安二郎 東京グルメ案内

4.00点 ( 3人中)

2003朝日新聞社貴田 庄

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小津は、外食が非常に好きだったらしく、出かけた店や料理をメモに残していたという。この本は、そのメモや小津作品に出てくる食事のシーン等も参照しながら、メモに残された店を訪ねて書かれているもの。

― 小津はこと細かではないにせよ、とんかつや鰻や鳥料理等の店を「グルメ手帖」のなかに列記している。私の興味は小津が食べたものを詳細に知ることであるが、と同時に、それらの食べ物を提供していた店が今でも営業をつづけているかどうかを調べることでもあった。 (本文より)

小津の映画には食べたり飲んだりするシーンが山のように出てくる。自宅の食卓であったり外食であったり宴会であったり…。かつて高度成長期前後にはTVのホームドラマが「メシ食いドラマ」と言われてた時期があった。会話をさせるのに家族の食事シーンを多く使うので、揶揄をこめてそう呼ばれたらしいのだが、小津の映画では「もっと食ってくれー」といいたくなるくらい飲食のシーンが印象的であるのは、単に映画的に興味深いというだけではなく、飲食そのものに関するこだわりが伝わるからではないかと思う。まあ、逆にいえば、映画的に興味深いというのは、そういう諸々の興味深さのfusionの結果ということなのだと思う。

浅草界隈の変わったグルメガイドでもあり、小津の映画に関するエッセイでもあって、いろいろな読み方ができる本なのだが、外食してとりあえず「美味かった」「美味くなかった」で済んでしまい、美味くなかったという経験をなるべく減らしたいというだけの要求を持ってグルメガイドを読む人はあまり参考にしないほうがいいかも知れない。とはいえ、映画と同じく、外食も、様々な刺激のfusionの結果を味わうものと思えば、こんな本も役に立つ事だろう。

もっとも、単純に食べるだけでもおいしいよといえる店が多く紹介されているのも事実。たとえば鰻の店だけ抜いてみると、前川、野田岩、尾花、竹葉亭…、くそー美味いもんばかり食ってやがる。一方、近年の蕎麦ブームから見ると、蕎麦は永坂更科と並木薮蕎麦あたり、ある種取り残された存在(失礼)であるかも知れなくて、蕎麦はもしかすると…今の僕らの方がうまいのが食えるのかなあ、とか思ったり。


この中に出てくる鰻屋の竹葉亭では、ちょっとよかったことがあったのを書いたのでそれもついでに。

今年はシラス鰻は豊漁で鰻も安いらしいけど、この頃は「そのうち鰻も食えなくなる!」みたいな煽りも結構見かけたっけ。


TITLE: 元気ないときの…鰻、竹葉亭 DATE: 11/19/2005

確かホームズだったと思うけど、何か病気になっているときは他の病気にはかからないもんだと。素直に信じていたけど、どーも今年の風邪は違うようだ。どう考えても直りきる前に新たな菌を背負い込んでるとしか思えん。いや、単にぶり返しただけ??ついに一晩38℃台まで熱膨張、じゃない上昇を経験して熱は下がったモノの鼻がぐじゅぐじゅで、バンドマン人生風前の灯火。

そんな中、昨日は仕事で多摩川を越え、取って返して銀座で床屋さん、その前に晩飯食わなくちゃと京橋を彷徨。しかし、手頃な店が見つからない。豪勢に食う元気もないし、かといって、あまりなファストフードだと気持ちが萎えそうだし…。というところに、そういや竹葉亭なら鰻茶漬けがあるじゃん!と、思いついた。

まだ、一度も入った事はないけど、小津グルメ本を読んでいつかは入ろうと思ってた鰻屋だ。鼻が馬鹿になってて、きっと味もよくわからないんだろうが、定食や鰻重鰻丼だと、心身ともに充実してないとどうもその気にならないんだが、鰻茶漬けならそんなに量もないだろうし、食べられそうだ。よし、いい機会だ、行ってみよう。

一人で店に入り、着席して「鰻茶漬けって量はそんなにないですか?」と聞いたら、少なめだとのことなので、うまきと鰻茶漬けを注文。ところが、このやりとりで却って量に不満だと思われたのか、おかみらしき人がやってきて「ご飯はおかわりできますから、いってくださいね」といわれてしまった。

やってきた鰻茶漬けはまさに思ってた通りの軽い食事。なんだが、食べてみたらおいしくて、なんだかほっとしてしまった。鰻を食ってほっとするなんて、あまり経験したことがないなあ。鰻食うときはだいたいこっちも食う気満々だから、だいたいは反応も元気。

効かない鼻にもほのかに香ばしいくらいに強めに焼きが入って小さめに切られた鰻はお茶漬けにぴったりで、思わず遠くを見つめてしまった。おかみさんもなんか気を使ってくれたらしく「おいしかったですか?」とご飯のお代わりを持ってきてくれたので「風邪ひいてしんどいんで丼じゃなくてお茶漬けにしたんで、ちょうど良くておいしいですよ~」と答えておいた。うまきも、卵がしっかりしてておいしい。

考えてみると、今年はシラス鰻が不漁のニュースを聞いたせいでもないが、いままで鰻を食する機会がなかったのね。あ、一度弁当でいただいたか。元気になったらどーんと鰻丼と白焼きでも食いたいのを。あーそれにしても八百徳の櫃入り鰻茶漬けもまた食べたいなあ。


鰻はかなり気合いを入れないと食べに行けないから最近はとんとご無沙汰しているな。

小津はただ名前を書いておいただけだけれど尾花の鰻、また食いたいなあ。