2008-03-20 14:34:00+09:00
日記 . mixi

[補遺] 『ジャズ・マンとその時代』 丸山繁雄

mixi日記から転載 id=750214563

レビューを書きました.。

レビュー

[

](http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=2444430&id=531915)

ジャズ・マンとその時代―アフリカン・アメリカンの苦難の歴史と音楽

4.00点 ( 7人中)

2006弘文堂丸山 繁雄

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知り合いにすすめられて読んだのですが、これは素晴らしい本。レビューにも書いたけども、第1章「前ジャズ期音楽 - 奴隷制下のアフリカン・アメリカン文化」に書かれている分析は「Swingとは何か」をフォーマリスティックに分析してますが、大変的確で「こんな賢い奴が日本にいたのか!」という思いでした。

本

第1章の目次

  1. ジャズ - 無限のクリエイト ・1945年ニューヨーク ・ジャズの学校
  2. ワークソング、ハラー、シャウト
  3. 宗教歌 ・スピリチュアル=黒人霊歌 ・ゴスペル [リズム・アンド・ブルースの誕生]
  4. アフリカン・アメリカン音楽の言語同化現象 ・三連系スウィングと八分系スウィング ・英語の音声学 [強勢拍リズムと音響拍リズム] [開音節言語と閉音節言語] ・ジャズ・リズムにおける等時性 ・品詞、および閉音節とシンコペーション
  5. ブルース ・奴隷解放と黒人社会 ・ブルースの誕生 [ブルースの地域分布] [レコード産業とブルース] [ピアノ・ブルースとその発展] ・ブルースという音楽 [形式] [ブルー・ノート] ・ブルースの音楽史的分析 ・ブルースという儀式・"ママT"

分析してたどりつく結論には、僕からするとちょっと簡単すぎかなと思えるところもありますが、それは思うに、著者がジャズに操をたてているせいに読めましたw

この辺はなかなか微妙なのですが、一つにはサッチモから現代まで、ひとくくりに「ジャズ」というけれど、筆者の視点で形式化をしていくと、実はマイルス以降のジャズとそれ以前が繋がらなくなっちゃうんですね。マイルスは自分がやってるのはブルースだといつも言ってましたが、ジャズはある時期からアフリカン・アメリカン音楽ではなくなったということだと思います。

これは、実は聴き手の耳が変わったということでもあり、アフリカン・アメリカン音楽であった時代のジャズも、今はそうでない時代のジャズの聴かれ方で聴かれているわけで、だからこそジャズを、↑目次のような視点で分析することに意味がある。

しかし、それをつきつめていけば不穏当な結果を生む。 僕にいわせれば、現代ジャズの矛盾そのもの。

つまり、ジャズが非アフリカン・アメリカン音楽になり、一方、アフリカン・アメリカン音楽のエッセンスはどこにいったかというと、ブルースからR&Bを経てJBから始まるFunk、さらにはHiphopへと流れ、それらを真似て非アフリカン・アメリカンが始めた音楽、Rock'n'Roll = 「ロック」にも(生硬で一部に、ではあれ)受け継がれているということになる。

端的に言うと、最初に書いた「Swingとは何か」というのは「Grooveとは何か」「Funknessとは何か」という問いに直ちに置き換えが可能だということになり、JAZZの優位性が失われるわけなんだなあ。

JAZZを一つの芸術として高めた位置におきたいジャズの人にとっては穏やかでない話だろうな。

ジャズの本質を追いかけていくと、今のジャズをそこから切り離さなければならなくなり、さらにはその本質はいまや他の音楽のほうが強く持っている、ということになるわけだから。

JBを聴いてマイルスは「俺もクロいがこいつはもっとクロい!」と内心驚いたそうですが、まさにその状況がジャズには続いているということでしょうか。

しかし、また振り返れば、ジャズのフィールドでなければこういう形式的=普遍的な分析が生まれないであろう事もまた確か。やってる方はSwingなりGrooveなりがあればそれでいいわけで、分析する必要はないのだから。JBのファンクは実は相当彼によって分析・再構築がされていると思うけどもまあその分析・再構築もより肉体的なものであるような気がするし。

この辺も、また、非アフリカン・アメリカンにも認められる芸術となったジャズが持つ諸刃の剣なのだろう。本来非アフリカン・アメリカンの文化は集団主義的・母権的で個人主義の入る余地はないはずだけど、ジャズはその誕生から強い個人主義の色彩を帯びている。だからこそエリントンの音とかパーカーの音、マイルスの音、というのが存在しうるわけで。

したがってジャズの人でない僕なんかのほうが、気持ちよくこの本を読めるのかも知れない。

というわけで、さらに補則しておくと、レビューで「英語で歌う人は読むべき」と書いたのは、むしろ器楽演奏に傾いていったジャズよりも、この本の分析はブルース、R&B、ファンク、HipHop、そしてロックなど歌モノ音楽により役に立つと思うからです。

この本の分析を読めば、たとえばJohnのボーカルの聴いてるほうがじっとしてられなくなるような高揚感が、ダイレクトにアフリカン・アメリカン音楽の影響なのだということが、素直に納得できると思います。

というわけで、

英会話教室に通うのがいいのか? それとも他の手段を探すべきか?

他の手段だろうなあ…w