この曲は最初Chet Bakerの録音で聴いた。いい曲だし、Chetの歌がはまっているし、タイトルもそれっぽくついてるから、すっかりスタンダードで有名なのかと思っていたらそうでもないのかも。YouTubeでもあまり見つからない。
beverly kenney/born to be blue
これは少し甘さがかちすぎている感じはするが曲の雰囲気は伝わるだろう。もともと歌モノだけど、探してみるとなんとこんな人がインストでやっていた。
Born to Be Blue - Jack Bruce
Jack Bruceなんだから歌が聞いてみたいと思うんだけど、まあしょうがないか。これはこれでいい感じだと思う。
曲はJazz VocalのMel TormeがRobert Wellsという人との共作したもの。有名な曲では"The Christmas Song"がこの組み合わせ。
The Christmas Song - Mel Tormé and Judy Garland
Tormeは1970年頃、Judy GarlandのTVショーのミュージカル・アドバイザーだった由。こういうのを聞くと続けてどんどん聞きたくなってしまうが、このことでもわかるように、Tormeは歌うだけでなく、作曲、アレンジ、さらにはドラムやピアノまで演奏するというめちゃめちゃ多才な人なのだが、歌がまた凄くて、歌を聴いていると、この人にそんな才能があるとは、逆に思わなかったりする。
歳をとってもどんどんうまくなって、聞いてると自分が歌うのやめたくなるので、若い頃のを探してみる。
Mel Torme - Dat dere
この、息の出し始めの勢いとそれがいったん済んだ後のコントロールの自在さ。これでもまだがっくりくる。
というわけで、もっと若い動画。
Mel Torme- april showers
1925年生まれで4歳から歌い始め14歳で最初の曲を発表しているから、このときにももう既にベテランなんだろうな。この、ドラムレスのバンドで間奏だけ歌がブラシってのは、なかなかいいかもしれないw しかし、たとえばSinatraなんかもそうなんだけども、歳とって円熟したときの歌と、若いときの歌、若い時の歌が僕は好きだな。
さて、"Born to be blue"。特にJAZZの曲に多いけど、メロディについていうと「オクターブ感をなくす」快感がある曲があると思う。オクターブは確かに周波数的にも割り切れるんだけど、ハーモニーや推移感、終止感、という意味では、人間の感覚は必ずしもオクターブにこだわらないのではないかと感じるときがある。この曲では、終止こそトニックの1、5、8度に落ち着くんだけども、途中の音の推移で調性感を揺らがせるところがあって、それが、浮遊感というかゆらぎ感に繋がって気持よいんだろうと思う。それを浮遊というのかゆらぎというのかによって、考え方は変わってくると思うけれども。
なんにせよ、自分の中に、3和音の単純な(というのは、数学的に割り切れるということでもあって、それを響きがよい、と称してきたわけだけど)ハーモニーをベースにした進行とそれに安定的にのるメロディ、というのは、まあいいじゃん、という嗜好があるのは間違いないと思う。それをあくまで12音の組み合わせとして逃れるのか、あるいはその間の音程をも考えるのか、他にもやり方はあるだろうけれど。
まあこの辺の話を始めると平均率と純正率の違いがどうだとか、いろいろややこしい話にもなってくるんだが…。ただ、そういう視点で見ても、オクターブの安定感=快感というような図式自体はさほど疑われていない気はする。必ずしもそうでもない、と考えてみるとなにか違った展開がないだろうか、という程度の思い付きではある。
曲も作曲者も考えるべきところ多く、消化不良の紹介となりました。