ZaKSを始める前、"Lark's" King Crimsonについて感じていたことを当時やってたblogに書いたが、当該blogの再開のメドが立たないのでいったんこちらに転載。
King Crimson。1969年、"In the Court of the Crimson King"でデビュー、メンバーチェンジや活動休止を伴いながらも、ギターのRobert Frippを中心にいまだ現役で活躍するバンド。僕がリアルタイムで聴いたのは"Starless and Bible Black"('74年)から。実は、最初に聴いた時はさっぱりわからなかった。
というのには味噌があって、某国営放送のFMでこのアルバムを全曲放送(当時はこんなのでもそういう扱いを受けたのだ)したのをエアチェックしたのだが、なぜかその前に録音していたPink Floydの"The Dark Side of the Moon"の上に被さってしまい、聴いたこともない2枚のアルバムを同時に聴く羽目になってしまったのが原因だった。そのテープを流すと、CrimsonとPink Floydを同時に聴けて実に便利なのだが、結果さっぱりわからなかったのだからあまり意味がなかったか。
"The Dark Side of ..."は、ほどなくLPを手に入れたが、Crimsonのほうは同じCrimsonでもなぜか1st(「宮殿」ですね)に化けた。にも係わらず、そのままどっぷりとハマり、さらに"Lark's ..."や、"Islands"を手に入れて聴くうちに、バンドは"Red"発表、一旦の解散、"USA"発売、再結成という道筋を辿る。
[
](http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=2444430&id=434372)
4.79点 ( 88人中)
2006ビクターエンタテインメントキング・クリムゾン
あらためて同時代の彼らの音に刺激を受けるようになったのは、通称「ダブルトリオ」、94年の"Vroom"からだが、ずーっと聴いてくると、やはり出会いの時代、Fripp、John Wetton、Bill Bruford、David Cross、Jamie Muir("Lark's …"のみ参加)というメンバーの、ここに紹介するアルバムの時期が突出しているように思う(ちなみに"Lark's Crimson"というのは僕が勝手に呼んでいるだけで、一般にはなんと言われているか知らない)。
この時期のCrimsonの魅力、様々な刺激はあれ、一貫して感じられるのは、とにかく、ロックとして余計な情緒がなく、ひたすら(特に大音量で)聴いてて気持ちが良くてノレるというところ。一般にこういうロックは「プログレ」と呼ばれていて、特にこのバンドは難解だと言われることが多いらしいが、どこが難解なんだ?
いや、百歩譲って「易しい/難解」という区別を認めるとしても、それは「気持ちいい/気持ち良くない」の区別とはまったく別のハナシじゃなかろうか。長い曲だって何度も聴けば覚えるし、変拍子でも拍子を数えるなんて余計なことをせず、そのまま聴いて流れにまかせれば、ノレるリズムの演奏であればノレる。テンション一杯のハーモニーだって、響きが気持ちよければそれでいい。もちろん受け付けない感性の人もいるだろうが、それはもうしょうがないこと…。
うーん、いや、こういう事が書きたかったわけじゃないんだけどな…。仕切り直すか。
場当たり的に。
[
](http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=2444430&id=434374)
4.47点 ( 17人中)
2006ビクターエンタテインメントキング・クリムゾン
以前、このバンドのドラマーBill Brufordがインタビューで曰く、
「西洋音楽にとっては打楽器というのは寄生虫みたいなものだ。なぜなら、西洋音楽にはもともとリズムという概念がなくて、今あるリズムはすべて黒人音楽を始めとする非西洋音楽から奪ったものだからだ」(覚えているように記)
100%ではないにしろ、概ね同意できる。
そこから言えば、西洋音楽の末裔たるRockというのは、基本的にリズムはぎごちない音楽なのだ。大体はその中で「ノレる」といっても、黒人音楽の、いわゆる"Grooveする"あり方とは根本的に違う。しかし、その事を自覚したミュージシャン達は黒人音楽の良さを積極的に取り入れようとしたし、痙攣的、一時的な周期運動ではない、各人のノリのあるリズムとそれをもとにした時間性を追求したのだと思っている。それは黒人音楽のように、最初から最後まで持続的で時とともに躍動感を増すというようには、なかなかならなかったのだが。
意識的なものは操作的であり、となればそれは必ずぎごちなさを伴う。 仮にぎごちなさのない操作ができたとしても、それは「操作」であるゆえに必然的に「ぎごちない」。
ハーモニーに関しても同じことがいえる。
この時期、バンドは、トライトーンなる増4度、減5度の音程を多用している。スケールでいうとディミニッシュ・スケール、間を全音で埋めるとホールトーンスケールになるが、これらも、実は、ジャズやブルースにおいては、ハーモニーを豊かにするのにごく自然に使われるハーモニーなのだ。が、Crimsonでは、かなり意図的に、耳に逆らうが(現代音楽に馴染みのない人にとっては…かも知れないが)、耳に新しい音程としてごり押し的に使う。悪く言えば洗練されていなくて幼稚なのだが、一方でそれが、楽曲やメロディが持つ無駄な叙情性を脱色する効果を持っているのだ。この、無駄な叙情性の脱色という点が、それ以前のCrimsonや、他のいわゆる「プログレ」バンドと決定的に違うところだと思う。
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=2444430&id=416190
音色。
彼らの音はまさに電気的に増幅された音で、あくまで乾いており、オーヴァードライブしており、ラウドだ。エレクトリックギターをはじめとする電気楽器が出現し、さらにオーヴァードライブさせて歪ませることによって得られる異化効果を存分に発揮し、さらに突き進めようとする姿勢があった。それが、"Lark's …,Pt.2"や、"Starless"のエンディングのカタルシスに繋がる。
多くのバンド(や楽器メーカー!!)が歪んだ電気・電子音の、従来的な感性に反逆しない部分だけを取り出して飼い慣らす事にばかり血道をあげたのとは実に対照的。Crimsonのキーボードはなぜメロトロンでなければならないかの答えもここにあると僕は思っている。メロトロンのストリングスはあくまでも電気的に増幅された音なのである。この音に対する感性をもって、彼らの音はたいがいのハード・ロック・バンドよりも「ハード」で、たいがいのヘビー・メタル・バンドよりも「メタリック」なのであった。しかも、ラウドな曲だけでなくたとえば"Book of Saturday"のような静かな小品に至るまで、それは一貫している。
演奏。
これはもう1パートに1人、少人数編成のアンサンブルでこそできるプレイヤー個々のぶつかり合い。その点、他のロック・バンドでは、Creamにかなり近いかも知れない。ライブのZeppelinはそれに近くなる事もあるが、あくまで低音の猛獣使いの立場を守るJ.P.J.と違って、John Wettonのベースはやかましいことこの上ない。実はトライトーン以外では、もっとも単純でロック的ないわゆるマイナー・ペンタトニック・スケールが多いのだが、音色がとにかくやかましいし音数も多い。そのためにいろいろ奏法的も工夫していたようだ(この辺はまた別に)。ライブでは音量も相当だったようで、後にFrippが「ライブのテープを再生してもベースしか聴こえない」とこぼすインタビューがある。Bill Brufordは、ぎごちないが独特のタイミングを持っている人で(YesからCrimsonに移って相当練習したらしいが、基本的にはあまり変わっていない)、ポリリズミックな展開も黒人音楽的な自然なものではなくて、この拍子に別の拍子をのせたらどうなる?的な単純な発想が多いのだが、やはりそれはそれでスリリング。この二人と基本的にはギターのFrippのぶつかり合い。だれが最初にへこたれるか(笑
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=2444430&id=994172
こんな要素が合わさったのがどんな音かというと、これはなかなか難しい。いや、気持ちよくノリのよい音、といえば済むのかも知れないがそれではあまりに淋しいので、ちょっと言い換えて、音のままでいる音、といってみたらどうだろうと思う。
実は、大概の場合、音楽では音そのものはあまり聴かれないのである。では、何を聴いているかというと、その音から聴き手が表象した何かを聴いているのである。それはそれでいいし、僕もそう聴くのがふさわしいもので、好きな音楽もある。しかし、そこに留まっているだけでは「今まで聴いた事のない音」を聴く事はできなかろう。これをとりあえず「異化効果」であると言ってしまってもいいのだが、たとえば、Robert Fripp以外のメンバーが大きな発言権を持っていた1stのトップを飾る"21st Century Schizoid Man"が、"Lark's" Crimsonの最後のライブ盤である"USA"でも演奏されているので、聴き比べてみるといい。
これはもう好みと言われてしまうかも知らないが、僕は圧倒的に"USA"バージョンが好きである。1stも好きだが、そちらはやはり今でも日常的に聴くというわけにはいかない。それに比べれば、実は、(Zeppelinもそうなのだが)発想といいライブやレコーディングの方法論といい、むしろ今の時代の音楽と相通ずるものがあるように思える。
以上転載終了加筆習性有ベースについてはまた別に転載。