最近あらためてKraftwerkは凄いと感じている。
で、いわゆるテクノポップ調の曲はもう古典化していていつでも体に入ってくるような ものだけど、ふとそういえば初期はどうだったんだろう?と。
ご存知の通り大々的に注目を浴びたのは"Autobahn"から、となるが、その前は いったいどんなことをやっていたのか知らなかったし、また実は"Autobahn"と それ以降の音では大きく違っている。 簡単にいえば"Autobahn"はまさにアウトバーンを疾走する車をシンセで描写して いて長いし、曲の中に時間軸があって、その点、いわゆるプログレとも 共通するし、実際当時はジャーマンプログレ、クラウトロックの一つとして 聴いていた。 が、"Autobahn"以降の曲はサウンドこそ同様だが、時間軸が畳み込まれていて、 普通のポップソングとして聴けるようになっている。 だからこそあれだけヒットもしたわけだろうが、"Autobahn"から入った身にすると 一ついい要素が落ちたままで今に至るようにも思えてしまう。 それはそれでまたいいのだが。
というような能書きはともかく、これが70年、"Autobahn"以前の彼ら。
これを見るとまあまさにプログレ。 しかし、こういう演奏でもちゃんと聴かせてしまうのだから、 やはりかなり音楽できる人達だということだろう。
ちなみにこのドラムとギターはこの後別れて、Kraftwerkとはまた違う ミニマルで無機質な独特のサウンドのNEU!を結成するメンバーらしい。 こちらもまた良いのだが、それはともかく。
こちらは1975年なので"Autobahn"が出る年なのだが、全体としてはそれとは違う 楽器も様々でやはりプログレ調、だが、時に後の曲と共通するモティーフが 聴こえたりして、前夜を感じさせるものがある。
そしてこちらが"Autobahn"のフルバージョンが後半にくる同じ年の秋のライブ。
逆にこれがまるっと紹介されていたら、それこそTangeline Dream等に並んで、 一足先に「もう一つのジャーマンプログレの雄!」みたいな評価を獲得して しまっていたかも?という位のもの。
結果的にはそういう評価があまり付かなかったのがむしろ後に幸いしたよう な気もするが。
これが翌年秋のライブ。
ここまで来ればもういわゆるKraftwerkサウンド。 "Radioactivity"や"Trans-Europe Express"等が演奏され、おそらく最後にフルバージョン 演奏されたであろう"Autobahn"は途中で切れるというもの。
おそらく一般的にKraftwerkのパブリックイメージが確率するのは78年の"The Man Machine" あたりではないかと思うが、そこに至るまでも色々ありの色々興味深いの、 というオハナシではあった。