2025-12-12 23:42:00+09:00
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『若い読者のためのアメリカ史【イェール大学出版局 リトル・ヒストリー】J.W.デイビッドソン』

読書中であった

読書中であった。

若い読者のためのアメリカ史【イェール大学出版局 リトル・ヒストリー】J.W.デイビッドソン

なんとなく知っているようで実は知らないアメリカの通史。

すでに若い読者とはいえないが、特定の時期やトピックを掘る前にトータルを掴むにはよいだろうと考えての選択。

単に出来事を羅列してゆくのではなく、その時代の特定の人物(有名・無名)の行動や 見方を挟みながら歴史的事象を記述してゆくスタイルで、ある種小説のような感覚で読める。

アメリカの歴史をもっと知っておかないといけないと感じるにいたったのは、もちろんここ数年の世界情勢への アメリカの影響についてより考えるようになったから。

トランプ再選に代表されるアメリカの変化。

変化のきざしはずっとあったが、トランプ大統領という形で噴出したと見えるということか、 それは保守回帰といわれ、伝統的にはモンロー主義の復活といわれるも、 一つにはトリックスター的なたたずまいで見えにくいものの、トランプはその象徴に過ぎず、 彼を支える層というのが実は相当な勢力で存在するのではないかということ。

もう一つは植民地主義。

アメリカは明確な植民地をもったことが少ないように思えるが、とんでもない話で、 その実は植民地主義によってできたのがアメリカという国家そのものであり、 そこを認識していないといけないのではないかという疑惑。

直接的にはガザを巡る現在に代表されるイスラエルの歴史と現在は、 まるでアメリカの歴史にそっくりではないか? そのことが、イスラエルおよびアメリカに存在するイスラエル支持層の行動に 影響しているとはいえないか。

これは両者の歴史の比較から導き出されたものではなく、たとえばネタニヤフの言動を みていると、その理解不能さの先に、しかし考えてみればアメリカ(ともちろんヨーロッパの帝国主義もだが)の 歴史からすると、かつて辿った道をイスラエルも辿っているということに過ぎないのではないか という推測がやってきた、ということである。

それに関連すると話は逸れるが、一方で歴史の参照ということでは、現在世界に大きな影響を与えている国の指導層は、 よくも悪くもよく歴史をみていると思わせることが多い。

あたり前といわれるかも知れないが、気になるのは、その参照の仕方。

ネタニヤフの国連だったか米議会だったかの演説で、パレスチナへの対応のモデルとして、戦後の日本のアメリカに よる占領統治とその後の日本の姿を思い描いている節が感じとられたということがあり、 非常に居心地の悪い気分になったことがあった。

安倍政権でまさにそれを全面的に肯定するような対外発信がされた(ハワイでの演説など)こともあるし、 戦争に負けたことはあるとはいえ、アメリカによる占領統治、その後も続く対米従属の実質を みるにつけ、我々がモデルになるというのは俄かには首肯しかねると考えるのだが。


この歳になって合衆国通史に入門することになるとは思わなんだ。

トランプはとんでもないという印象だけども、読んでみると名前だけはなんとなく知っている過去の彼の国の指導者もなかなかにとんでもないキャラの人がいるなあというのが印象。