- 『 同じ一つのドア 』 John Updike
今手元にないので印象だけですが、訃報が届いたので。
アメリカ文学にはあまりない手の込んだ修辞や比喩と、なんの変哲もない日常との対比が独特。そうやってさらっと読むのもいいけれど、今になってみると、その底には第二次世界大戦後の都市生活者のそこはかとない閉塞感や不安感が常にその底に流れているように思える。
すぐ手が届きそうなのに手が届かないもの、いまにもたどりつけそうなのにたどりつけない場所。結局は、いまと同じ場所で、同じ人たちの中で生きて死んでゆくことになる、という予感めいた感覚が、独特のタッチで描かれている、と思う。
もっとも、それはたとえば現代を切り取る問題意識、というよりは、多分に作家個人のキャラクターの現れだと思うけれど。
日記に補遺 があります。