イチイチロクロクイチイチロクロクニーニーゴーゴーニーニーゴーゴーニーニーゴーゴーイチロクイチロク。
歌メロのなんと当たり前なコード進行、間奏はIVmになるけど、なんでこれであの自由っぽい浮遊感のあるハーモニーになるのか?てのが、自分で演奏するようになって最初の疑問だったと思う。どのコードもテンションは付いてるけれどそれだって、まあよくある付け方だし。
むしろDonny Hathawayのカバーの方が聴かれてる気配だった時代もあり、あの整理されたバージョン(あれも好きですが)だとそれほど感じないけども、本家Marvinのは、ほんとにいろんな音、いろんな声、いろんなリズム、いろんなハーモニーが聴こえる気がする摩訶不思議なテイク。
What's Going On 訳詞付/Marvin Gaye
歌詞のことは後として、なんだか、Donnyはもちろん、Quincyとか、あるいはTodd RundgrenやらRobert Palmerやらの声やらサウンドも、聴いてからまたこれを聴くと、後からできたそれらが、すでにMarvinのテイクに埋め込まれてて聴こえてくるような気さえする。
"What's Goin' On"のアルバムが出たのは1970年で、当然リアルタイムの反応は分からないのだけど、前後のアルバムを聴き比べてみると、やはりなんだか突然とんでもないものが出てきちゃった、って感じだったのではないだろうか。
この直前までの彼のレコードは、(もちろんめちゃくちゃに)ブリリアントではあるが、それまでのMotownのPopシングルの作り方の域を出るものではなく、ボーカルも甘い地声と強力なシャウトを中心とした比較的シンプルなスタイルだった。それがいきなりこんな陰影があって微妙で豊かなGrooveのあるサウンドに、多重録音を駆使して、シャウトからファイルセットから、七色の声を一度にぶち込んでしかも統一感のあるボーカルトラックを載せてきたんだから。
面白いなと思うのは、この1年後からやはりとんでもない快進撃に入るStevie Wonderが、かなり似たようなアプローチをしていること。声の多重録音で、どれが主旋律だかハモリだかコールだかレスポンスだか決められない万華鏡のようなボーカルトラックを作る、彼の場合はそれが'76年の"Songs in the Key of Life"で極まった感がある。
そういえば、今回知ったのだが、Stevieの"Music of My Mind"、"Talking Book"、"Innervisions"、"Fullfillinggess' First Finale"、"Songs in the Key of Life."の時期を、Wikipediaでは"Classic Period"と呼んでいた。言い得て妙だが、それはおいといて。
で、この時期のMarvinとStevieに共通する事がもう一つあって、Motownのアルバムとして、ミュージシャンやスタッフの名前をちゃんとクレジットするようになったのは、この頃からだと思う。そういうことも、なんかミュージシャンシップを感じさせる理由の一つにはなっている気がする。
このスタジオ盤を聴いてるだけだと、くらくらするばかりでとっかかりがないんだけど、最近はいろいろとライブの動画も出ていて、こんなのだと、大分冷静に分析できたりする(考えてみるとそういう意味ではDonnyのバージョンはありがたい存在だったなあw)。
Marvin Gaye - What's Going On (From "Greatest Hits - Live In
スタジオ盤だとサビ前ファルセットで"woo, woo"とやって"what's goin' on"とシャウトする、ゾクゾクするような箇所があるんだけど、あれは多重録音の産物で、ライブで聴けるものではないのかなあ。
Marvin Gaye - Mercy Mercy Me / What´s Going On
"Mercy Mercy Me"もいい曲だよなあ、つーかほんとこの頃いい曲ばっかりなんだけど。そういえば、こういうのを再現するアマチュアバンドっていないのかなw てのはともかく。
"Picket Lines, Picket Signs..."のところのバックコーラスがなんて歌ってるのかいまいちはっきりしなかったんだけど"Sister, sister,..."なんだね。なんでここでsisterなのか、単にMother、Father、Brotherは歌詞に出てくるからなのか…。
"Mother"、"Father"、"Brother"といえば…。
最初に引用した動画の訳詞を読んでわかったけど、"Mother"なのはそういうわけなんだね。なんで"Mama"じゃなくて"Mother"、"Papa"じゃなくて"Father"なのか、元々古い伝承曲にあるような呼びかけのスタイルがベースなのかと思っていたので、その辺ひっかかりがあったのがすっきりした。
呼びかけ、といっても、どうも目の前に居る誰かに、というような感じではないのもそのせいか。
で、文は単純だけどどうも歌にはあまり出てこないような単語が出て来るし、たとえば"Escalate"は、その頃までにベトナム戦争の拡大を「エスカレーション」と呼ぶのが定着していたから、この単語が使われたのか、そういうところから"conquer"やら"brutality"やらの単語も出てきたのかしら。歌の歌詞としては"For only love can conquer hate"なんて、なんだか回りくどいような、もっとよく使われる言い回しがありそうだよなあとか思ってたのだけれど、もしかするとそれらはBibleからなのかもと思わないでもない。しかし、Bibleなんてずっと同じのような顔をしてるけど、見て行くと文章なんかどんどん変わってるし、簡単には行かず、調べようと思ったら文献学的調査が必要だろうし。
ま、そんなことはどうでもいいや、所詮英語だしw
ただ、さらに気になっていたのは、"Baby who are they to judge us, only 'cause our hair is long"で、これがパーソナルに捉えたい歌詞だとしたら、なんでこんな歌詞にしたんだろう?だって、黒人だからきっと髪は"long"じゃないよなあ、"big"なのはあるかも知れないけど。むしろ当時の白人のヒッピーに向けた歌詞に取られるんじゃないだろうか、これを黒人のMarvinが黒人の前で歌うとしたら、いったいどういうことになるんだろう?ということ。
そしたらば、こんな動画がありました。
Gaye, Marvin - What's Goin' On (LIVE - Midnight Special - 19
なんと、"long"を歌わないでかぶっていたキャップを取っている!Midnight Specialの野外ライブ、客席の雰囲気がイマイチわからないけど、黒人の客が多かったからか、この歌は全体に以前のストレートなスタイルにも近い感じがする。
この人はえらく繊細で神経質で、生演奏ではupsetしちゃってひどかったことが多かった、ってなんかで読んだことがある気がするけれど、こう見ていくとそれでもずいぶんいい感じのが残ってるな。
しかし、興味深いという点ではこれだな。
Marvin Gaye "What's Going On" 1972 (Stereo)
映画"Save the Children"の一部らしいけど、ピアノの前に座って歌うMarvinの隣でベース弾いてるのがJames Jamerson!!!! いやこのベースすげー。実はMarvinとStevieのミュージシャンクレジットをみてやっぱりこの人すげーじゃん、と思ったのはJamersonが筆頭。MotownヒットシングルのFunk Brothers替え玉疑惑(w)がもし真実だったとしても、そりゃ要するにJamersonもCarol Kayeもどっちも凄いってことだよ。
しかしJamersonがMarvinのすぐ後ろの、外のリズムセクションと離れた位置どりなのは、何か意味があるんだろうか…。これだけじゃわからんなあ。後半の長いアレンジもいいです。
9月~10月で僕はこの曲を都合三回人前で歌った。 一回目は弾かないギターを持ってだけれど、2回目3回目は楽器を持たずにマイクを持って立ってやった。歌詞も覚えたし、すげー、歌手じゃん!画期的w
てのは悪い冗談として、しかしやっぱりそういうスタイルで歌うとまたいろいろ見えることがあるようで。歌詞を覚えればそういうのもやってみるといいかも。
またなんか覚えようかなw