読書中であった。
『 日本の闇と怪物たち 黒幕、政商、フィクサー 佐高信、森 功 』
黒幕とかフィクサーとかいうと、いかにもそれらしいのは瀬島龍三あたりまでで、 その後はどうなってるんだという感じであるが、 ここでは、 許永中、葛西敬之、竹中平蔵 等を取り上げている。 首相までやった中曽根康弘が章立てされているのは一瞬狼狽えるが、 いわゆる黒幕的存在が周囲に多くて関係が深いゆえ、と読んだ。 まあ、ある種黒幕の親玉と捉えてもあながち間違いでもないか、 吉田や佐藤にしてもそういうところはあったわけで。
以下抜き書き。
序章 統一教会と創価学会
森 …。 会ったことはないです。 笹川で言うと、鎌田慧さんのルポがよく迫っていますよね。
佐高 『ルポ権力者』ね。 三〇年くらい前の、たしかに先駆的な仕事ですね。 鎌田さんは、あの時代に、笹川存命中に、よく報じましたよね。
佐高 …。 田中秀征は、統一教会の選挙協力を断るわけですよ。 するとすぐに、選挙区の全戸に、田中は容共議員だというビラが撒かれる。
つまり、黙っていれば自民党と統一教会は、既定路線としてくっついている。 断ったときに初めて切れるわけですが、そうすると敵対者と見なされて、とんでもない攻撃を受けることになる。
森 北朝鮮絡みで言うと、安倍の秘書をやっていた政務秘書官の井上義行が、なぜ統一教会とあんなに結びついたかというと、安倍の密使として何度も、北朝鮮に連れていってもらっているんですよね、統一教会に。 これは定かではないんですが、北朝鮮へは通常のパスポートが使えないから、それを統一教会に段取りをつけてもらっているらしく、何度も行っていることは間違いない。 そういうつながりがあるから、切っても切れない。
安倍自身も統一教会にそういう負い目があるという話は、公安の某人が言っていました。
第三章 中曽根康弘と田中角栄の宿縁
佐高 ロッキードは本質的には田中の事件じゃなくて、中曽根の事件だということ。 官僚出身でエスタブリッシュメントの中曽根が生き残り、田中が落とされていくという背景があったと思う。 そこにキッシンジャーという存在がいたわけでしょう。
森 そうです。 中曽根がキッシンジャーに揉み消しを頼むわけですよ。 それは公文書に残っていて、奥山俊宏という朝日新聞の記者が書いていますけど、「モミケシ(Hushup)」と記されているわけです。 つまり、中曽根がキッシンジャーに揉み消しを頼んだわけですよ。 それは田中のためにというよりも、自分のためだったんではないですかね。
佐高 そう思います。 結果的には、ロッキードは田中追放につながっていったということですよね。 そこには田中が志向した、資源戦略に根差した日本の自立ということも絡むわけでしょう。 これも田中が進めたわけですが、日本が中国と近づくことも。 そういう動きをキッシンジャーは徹底して嫌った。
片や、中曽根はナショナリストと評されることが多いけれど、キッシンジャーの弟子みたいなことを自称していて、実は対米従属を強化していく。 キッシンジャーという人間を挟むと、田中と中曽根の違いがはっきり見えてくる。