北千住KNOCKのオープンマイクイベント"Sunny Aco Afternoon"、略してサニアコにて。
必ず三曲新曲披露サーキット無事五周目終了。 イベントでは状況により二回目回ってくることがある。 今回はそうなって追加で二曲できた。
- 00:00 もうひとねむり
- 03:52 迷子の子猫
- 07:50 静かに雨が降る
- 11:37 小さな島で
- 15:33 街の幻
ルーツミュージック(主にアメリカーナ)の影響下の曲、変な曲、普通の曲を一曲ずつこの順番で。 もっともやるうちにどの曲にも三つの要素が入ってくるようになってるようで、 もはやはっきり分類ができない感じではある。 むしろやった時の流れが自然になるように強引に決めているともいえる。 四、五曲めはエクストラ。
『もうひとねむり』
イチサンヨンゴのAメロにヨンヨンイチイチヨンヨンゴーゴーのBメロ。 12小節スリーコードではないが、これもまあ広義のブルースというか、 ルーツな進行かと。 このパターンに経過と代理コード盛り盛りすると五月にやった『武蔵野のマダム』みたいになるので、 あえて素朴なコード進行のままにした。
「オレは寝るのが好きだ」「オレは寝続ける起きてやるもんかい」「だらだら寝てるのって楽しいよなあ」 とはいつも思ってることで、それをうまく唄にしたいというのもいつも思ってること。
そういえば三年寝太郎なんていうオハナシもあったな。
『迷子の子猫』
実は一曲めの歌詞はほんとはこの曲にのる予定だった。 ところが先にそっちのメロディが出てきてしまったので、今回は曲と歌詞は別れ別れに。
動画の演奏を聴いてて「クスリやってるシド・バレットみたい」と弄ってきた人がいた。 なんとシド・バレットは大好きなので光栄なことと返したが、 実際のところどうだ?そうか? とか思いつつ頭の中で転がしていたら、似てるかどうかはともかく、彼を意識して少し 手を入れていくとなんかもっとよくなりそうな気がしてきた。
次回やるときはそれを意識してみよう、というわけで変な曲。
『静かに雨が降る』
普通の曲の位置づけではあるが実は結構変な進行なのを「ボサノバだからこのくらい普通」と 捻じ伏せるパターンの曲。
ベースがペダルポイントでDになることがやたら多いが、そうなるとギターだとオクターブ上なんで ちょっと考えたほうがいいかもしれない。
ガットギターでやれればよりよいのはいうまでもない。
『小さな島で』
先日某所にて「Bluesは俳句みたいなもんだから」という至極同意できる御託宣をいただき、 ということは、と、つらつら考えるに、俳句の歴史をみると、蕉風あたりからの作家性の強い俳句の前には、 山崎宗鑑の俳諧連歌から井原西鶴の一昼夜1600句独吟興行とかの時代があった。
で、かねてよりそういう芭蕉以前の俳諧のあり方や手法を活かせないかとは考えていた。
芭蕉のごとく浮かんだ句を旅しながら推敲し推敲する、というのもよいけれど、 それはまた次の段階ということで。
で、一昼夜の間に一人で1600も句を読むなんていうのは絶対何か秘訣があるはずだよなあと、 昔から色々考えていて、なるほどこうすれば1600はまさか無理でも一日一曲くらいはいけるかな? という見通しがたった気がしていて、 それを試すいい機会なので、順番待ちの間に12小節のを一曲書いた。
前回やった『いいことありゃしない』を本歌取りというか、その中の文句を一つ 引っ張ってきて、別の状況に展開したというわけ。
よくあるシャッフルやスローブルースだと雰囲気まで引っ張ってきかねないので、 ありがちなケツにVIb7が入るマイナーの進行にして、その進行になってる Nevil Brothersの"Congo Square"的なリズムを合わせてみた。 書いていきなりこのリズムに合わせられるかとは思ったけど、聴き直してみると、 まあとっかかりとしてはこんなもんかな、という感じではある。
たくさんどんどん作るには要するにうまいこと働く制限を作ることだと思う。 本歌取りもそうだし、先になんか各行の最初の音を決めるとか、 まあ和歌や俳諧だけでなくて普通の詩作でよく使われる手法もいろいろある。
といいながら一日経ってまだこの曲から発展したブルース曲はできてないのだが、 まったく別なところから降ってきたのでそれをまとめることにする。
で、西鶴の一昼夜1600句独吟興行の結果って残っていなくて読めないのかと思っていたが、 十巻の『西鶴俳諧大句数』として残っていた。 Webに載せている 人もいた。
ただ、ひらがなばかりだとパッと読んでもサッパリ意味がわからない。 長くつきあう必要があると思われる。
『街の幻』
二十代の頃に曲を書いていたが数年で挫折してずっとやっていなかった。 そのままやらないつもりだったわけではなく、これこれこういう条件が整ったら 再開してもよかろうとなるはず、とは考えていたのが、 今年になってそうなった、という感じではある。
これはまた曲を書き始めて昔書いたのを聴き直してみたら、何曲か元にして 膨らませてもよいのでは?と思えるものがあった。
昔書いたものは(まあ今もそうだが)、とにかく歌詞がポンコツ極まりないものばかりなので、 構成を変えて歌詞は書き直してとりあえずこうなった。
という感じで今回。
他はどうかわからないが、サニアコでは曲間のMCもそれなりにやってみる雰囲気があって、 なんか喋ろうと思うと、ここはこうしたいとか次はこんなことやるとか、つい口走ってしまう。 それに何か口走れば大概客席からツッコミがくる。
そういうやりとりも要するに制限を産むんだけど、上にも書いたように適切な制限はむしろ 助けになったりする。
というわけで、そういうやりとりを反芻するうち、すでに二曲くらいのネタは揃いつつあるのだった。 ありがたいことである。