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『新東京アウトサイダーズ 東京アンダーワールド』 ロバート・ホワイティング, 松井みどり

読書中であった

読書中であった。

こうした活動は、一九九六年発行の、 グレン・デイヴィス、ジョン・ロバーツ共著『Occupation Without Troops』に記されている。

すでに述べてきたのと同様、逆コースにも、裏で操る勢力が潜んでいた。 カギとなる人物は、戦前に(東京大学)で英語を教えていたジェイムズ・リー・カウフマン。 〈ゼネラル・エレクトリック〉〈スタンダード・オイル〉〈ディロン・リード〉などの、 大手アメリカ企業の弁護士も務めた人物だ。

カウフマンは、一九四七年八月、戦後日本の経済状況を調査する視察団の一員として、東京に舞い戻ってきた。 その後、アメリカに帰国し、マッカーサーのGHQ政策の失敗について、レポートを提出している。 労働政策、農業政策の失敗ばかりでなく、公職からの二十万人の粛清など、占領政策の数々の点を指摘した。 GHQのメンバーが、日本人が飢えに苦しんでいるのを尻目に、一日たったの五十セントでホテルに泊まり、 たったの二十五セントで食事にありついているという、けしからぬ現状も報告した。

ケーディスに言わせれば、とんだ間違いだらけの報告書だが、これがアメリカのビジネス界に波紋を投げかけた。 なぜなら、カウフマンのクライアントや、似たような興味を持つ連中にとって、 ビジネスチャンスの豊富な日本を、占領軍が台無しにしているというイメージを、この報告書が示していたからだ。

この政策転換は、すでに論じたとおり、中国や朝鮮半島に湧き起こり日本を飲み込まんとする、 共産主義勢力の増大のせいばかりではなかった。 戦前の日本市場を復活させ、米国多国籍企業にとって格好のマーケットにすることを、 当初の狙いにしていたウォールストリート派のロビイストたちの動きも、政策転換のきっかけになったと言える。

かくして、占領軍兵士のポケットマネーから、東京アンダーワールドへと、膨大な富が流出することになる。 占領時代を著したハリー・エマソン・ウィルデスの名著『Typhoon in Tokyo』によれば、 GHQ占領時代に娼婦たちを経由した金額は、なんと十億ドルに達したという。

歴史家の田中和幸は、著書『Japan's Comfort Women』の中でこう記している。

日本の戦後経済を復活させたのは、繊維でも、化学製品でも、ほかのどんな産業でもなく、セックス産業だった。 しかも、数十万人に及ぶ日本人セックス労働者の、肉体的、精神的犠牲を伴って (これにより、一九五〇年だけで性病発生二十万件という、驚くべき数字がはじき出されている)。

『ニューヨーク・タイムズ』のラッセル・ブラインズ記者は、著書『MacArthuris Japan』の中で、この件に触れている。

アメリカ人はあらかじめ、日本に関する教科書を読んできた。 そこには、サクラ、華やかなキモノ、清潔で賢そうな顔、正直で誇り高く、とても勤勉な国民、 という魅力的なイメージがあふれていた。 ところが、現地で実際に目にしたのは、泥だらけの文化、薄汚れた、だらしない国。 国民は落ち着きがなく、悪賢くて、どちらかと言えば不誠実……。 征服者たちは、日本の仮面を引き剥がしたのだ。

ヤクザの親分、安酸は、自叙伝の中で別の言い方をしている。

一言でいえば、学歴とか家系とかはどうでもよく、肉体的な強さが何よりも重要な時代になったのだ。 戦前はいいものばかり食っていた連中が、急に太れなくなった。 別のタイプの連中が、いいものを食えるようになった。

要するに、オリンパス・スキャンダルから得られた教訓は、非常に明らかだ。

銀行や保険会社の大きなネットワークを持つ日本では、株主の利益を守る文化が、あまりにも長いあいだ優勢だった。 そのような文化は、グローバル化した経済にはそぐわない。 "コーボレート・ガバナンス(会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの、という考え方)” を標榜する日本のシステムは、基本的に会員制クラブに似ている。 やっかいな外国人"アウトサイダー”に、中に入り込んでこられると、どう扱っていいのかわからないのだ。

もちろん、そもそもオリンパスが、帳簿の改ざんなどしていなければ、こんな問題は起こらなかっただろう。 会社のイメージを損なったと、ウッドフォードを非難するのは、八つ当たりに過ぎない。 不正という基本的な事実を、『FACTA』がすでに報道していたことを考えれば、なおさらだ。

企業の不正行為は、決して許されるものではない。 オリンパスのような企業の不正が明るみに出れば出るほど、結局は企業全体の健全化につながるはずだ。 もちろん、株が暴落し、会社がつぶれて、みんなが路頭に迷うことにならない限りは。

岸の顧問として、賀屋興宣がいた。 東条内閣時代に大蔵大臣をつとめ、A級戦犯になったが、一九五八年に国会議員に選ばれ、政界に復帰した人物である。 ティモシー・ワイナー著『Legacy of Ashes』によれば、その賀屋がCIAとのおもな中継役だった。 こうした関係は、岸の弟、佐藤栄作の時代まで続いている。 そのころ、ヴェトナム戦争のための重要な米軍基地だった沖縄が、大きな社会問題となっていた。

これらすべてが、統一教会の反共スタンスにぴったり適合し、KCIAとの急接近を招いたのだ。